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[巻頭言]医療の崩壊せめて看護学校を守ろう.pdf

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平成21年10月31日 宮 崎 県 内 科 医 会 誌 第76号 【巻頭言】 [巻 頭 言] 医療の崩壊 −せめて看護学校を守ろう− 宮崎県内科医会副会長  野 田   寛 この文章を読んでいただける頃には,政変が決している事と思います。 小泉元総理の 「市場原理主義における聖域なき構造改革」は医療に何をもたらしたのか。少な くとも日本の医療においては聖域の消失は仁術である医療を崩壊させてしまったように見える。 新研修医制度,医局制度の解体,医薬分業,レセプトオンライン化,ジェネリック薬品の強制, 総合医,たて値制度,5分ルール,公立病院の閉鎖,モンスターペイシェント,医療訴訟問題な ど一つ一つにもっと議論が交わされるべきであったが,全方向に山積みされた問題が表面化し, 緩んでいた地盤が崩れるように,身動きが取れなくなり,出口が見えなくなった。 日本医師会は,一日でも早く方向を定め会員に示していかないと,ますます混迷は深まるばか りのように思われる。そんな中,地方の開業医として切実に感じていることがある。 あるTV番組で札幌市内の歯科医院の現状を取り上げていた。市内に1,400件の歯科医院が乱立 し,コンビニよりも多いと言われている。生き残りをかけて,あるシステムを使い0円を謳い文 句に営業をしている医院もあるという。延岡では少子高齢化に伴い歯科衛生士を養成する教育機 関が3年前からなくなり,10年後には経営が成り立たなくなるところが出てくるかもしれないと 聞いたことがある。乱立,スタッフ不足など要因は違うが,個人開業が主体だけに閉院に追い込 まれやすいと言われる歯科の状況は今や他所事ではない。 延岡医師会も10年前から准看護師の現役の受験生が定員割している。そのうえ7対1看護によ り,病医院の需要と看護師の数は全くバランスが取れず,争奪戦とも言える状況である。日向市 医師会は医師会病院を持たず看護学校と介護ステーションに力を入れている。一方延岡市医師会 は医師会病院と看護学校を持ち,たとえば看護学校の生徒の約5分の一は日向市から来ており, 日向市から小児科の急病センターに来る患者さんも多い。その点で日向市とはある種の連携プ レーができていると考えている。地方開業医にとっては早急に打開策を求めたい一番重要なのは 看護師の養成の問題である。どんな高度医療も手厚い看護も医療地域の実情に合う,患者さんの ニーズを見据えた姿勢がなければ絵に描いた餅である。看護師不足であえぐ医療界でありながら, 看護大学出の看護師は続々と生まれている。しかし実際問題として個人開業医ではそうした看護 師を雇用できる経済的体力は少ない。また知識の高さと現場での叩き上げ的な実践力のバランス についてはどうか。特に個人の開業医院でその両方を活かしきる現場の体制はできているのかど うか。そのため,雇用したいのに雇用できない,就職したいのに就職できないという状態が出来し, 数年後には看護大学出の看護師に就職浪人が増えると予測されている。そのような点についても 先日TV番組で,中国の大学卒業後の就職難が取り上げられていた。高度成長に合わせてホワイ −1− 【巻頭言】 宮 崎 県 内 科 医 会 誌 第76号 平成21年10月31日 トカラーを作り出すために粗製乱造的に大学を増やし,はじめ100万人であった大学卒業者を10 年間で600万人にまで増やしたための就職難である。これは医療の偏在を単に数の問題として片 付け,短絡的に医師の数を増やせば良いと動く今の日本の医療界に重なる。また少し違うが,外 国からの看護師雇用にも重なっている。高度医療も介護も現場での患者の抱えている実情や感情 に寄り添っていなければ役目を果たしているとは言えない。そのために必要な看護師なしでは医 療ができない,常に養成をしていくべきであることが根幹であるが,その養成にあたって明確な 長期的ビジョンに基づいた教育機関が必要である。その観点からせめて看護学校の質を高め,入 学志願者を呼び込み裾野を広げる方策も必要ではないかと思われる
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