低R液圧症候群¢脳脊R液减少症.PDF
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低髄液圧症候群(脳脊髄液減少症)
低髄液圧症候群(脳脊髄液減少症)は、起立性の頭痛、ふらつき、全身倦怠感等を症状と
する疾患で、多くの場合追突事故などの軽微な外傷後に生じますが、原因がはっきりしない
場合もしばしばあります。外傷の場合には、その瞬間からでなく、しばらく(30分から数
週間)の時間間隔を空けて発症します。比較的急激に発症し、ある日を境にその患者さんの
状態、生活が大きく変化していることも多く見受けられます。ほとんどの患者さんがいくつ
かの医療機関を受診し、特に異常なし、気のせい、などと相手にされないで、時には心療内
科、精神科を受診してくださいといわれ、二重の苦しみを負うこともあります。以前はこう
していわゆるドクターショッピングを繰り返し、正しい診断がつくまでにかなりの時間を要
していましたが、最近はマスコミでもしばしば取り上げられこの疾患の認知度も少しずつ上
がり、ご自分で診断され、あるいはそうする前に開業の先生方からご紹介いただき、発症か
ら早期に診断がつくことも増えてきました。
この疾患は、腰椎部、あるいは下位頸椎部で髄液が脊髄神経根に沿って硬膜外に漏出し、
このため起立時には頭の圧が下がり、これに伴って、脳や脳神経、脊髄やその神経が移動、
牽引されて生じます。診断としては、脳の下方向への移動の確認(間接所見)と、漏出その
ものをとらえる直接所見があります。間接所見については、頭のMRI(小脳下垂、硬膜肥
厚、硬膜下水腫)などで比較的容易に診断がつきますが、直接所見については、多少侵襲
(体の負担、危険)を伴う方法(RI脳槽シンチ・CT脊髄造影)があります。
診断については、平成24年5月に厚生労働省から「脳脊髄液漏出症診断基準」が出さ
れ、中京病院もこれに準じて検査を行い診断しています。非常に厳しい基準ですが、これで
「脳脊髄液漏出症」か「低随液圧症候群(脳脊髄液減少症)」かが判定されます。当院の経
験では、この基準により「脳脊髄液漏出症」と診断される症例は、治療を行う症例の6分の
1程度です。
自然経過ははっきりとしたものは分かりません。非常に早期には水分摂取、安静などで治
癒する症例もありますが、慢性に経過している場合にはおそらく自然に治癒することは少な
く、一旦発症すると、2年でも3年でもあるいは10年でも20年でも苦しむことになりま
す。
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この苦しみに対して、ブラッドパッチ療法が有効とされ、当院でも2005年から積極的に
治療に当たっています。これは、腰椎部、頸椎部で硬膜のすぐ外側まで針を進め、この硬膜
外腔に針先があることを造影剤で確認したのちに、肘から採取した血液を注入します。血液
はしばらくして固まり、漏出している部位を糊のようにふさぐことを期待した治療です。
普段はない場所に血液を入れるわけですから、内出血を人工的におこす治療となり、注入
中とその後は痛みを伴います。インターネットなどの体験談情報では非常に痛い怖い治療法
のように知られていますが、痛かった人は感想を書き込むでしょうし、痛くなかった人は書
き込まないわけですから、あまりこうしたことに惑わされず、死ぬほど痛いなどと思い込ま
ないでいただきたく思います。「ネット情報とは大部違いますね。」というのが一番多い反
応です。
ブラッドパッチ療法1回で完治する患者さんもおられますが、そうしたケースは1割程度
で、平均して3回近く治療を必要とします。中には5回治療が必要な患者さんもおられま
す。時にはまったく症状が改善しない症例もあります。原因ははっきりしませんが、注入し
た血液が、漏出部位とは関係ない場所に集積してしまった、固まりにくい血液であった、別
の疾患であった、等が考えられます。
現在のもっとも大きな問題のひとつは、治療費に関することです。前述の厚生労働省の基
準で「脳脊髄液漏出症」と診断されれば保険診療が行えますが、4万円ほどの費用が必要と
なります。基準に合致しなければ保険治療が行えずに自費治療となり、一回の治療(2泊3
日)に付き16万円近くの費用を必要とします。
治療に伴う合併症の発生頻度は、今のところ、大きなものは0.1%以下です。放置しても
改善しないだろうことは、この疾患の患者さんご自身が最もよく分かっていらっしゃると思
います。中京病院はこれまで愛知県内で最も多くこの疾患の患者さんを受け入れています。
診察をご希望の方は、現在かかっている医療機関を通し、当院の地域医療
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