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はじめに (調査研究の目的)
家庭教育はすべての教育の出発点であり、子どもが 「生きる力」を身につける上で重要な
役割を担っているが、子どもたちの生活習慣の乱れや社会的マナーの低下、自立心や自己肯
定感における課題など、本来、家庭が果たすべき役割が果たされていない状況が指摘されて
いる。
このような家庭教育をめぐる課題には、直接家庭教育を担う個々の保護者の問題のみなら
ず、少子化・核家族化により子育てに関する知恵・手法が伝承されにくいことや、地域との
つながりの希薄化により親子が孤立しがちな環境にあること、雇用環境の変化といった社会
的要素が大きく影響している。
私たちが直面する問題として、いじめ、不登校、児童虐待、若者の引きこもり、社会格差、青
少年犯罪など、親子を取巻く様々な問題がある。
国においては、平成18年の教育基本法の改正による家庭教育に関する規定の新設や、平
成20年の社会教育法改正により市町村の教育委員会の事務として「家庭教育に関する情報
の提供」が追加されたほか、平成25年6月「第2期教育振興計画」では、第1期の方向性
を引継いで、「豊かなつながりの中での家庭教育支援の充実」が基本施策として位置付けられ
るなど、ますます複雑化する社会の中で、家庭教育を社会全体で支援する必要があることを
明確にしている。
本市でも、相模原市教育振興計画において基本方針の一つとして 「子どもの健やかな成長
を支える家庭教育力の向上の促進」を掲げ、PTA連絡協議会に委託している家庭教育事業、
公民館における子育て講座等の実施により保護者への学習機会の提供を行っている。
しかしながら、講座等を例に取り上げれば、参加者は自ら学ぶ意欲とその余裕がある保護
者が主であり、時間的・精神的に余裕のない保護者や家庭教育に関心の低い保護者へのアプ
ローチが課題となっていた。
今期の社会教育委員会議では、本市の子育て家庭の現状や家庭教育支援の実施状況をあら
ためて検証するとともに、① 「多様な家庭へ情報や学びを届ける工夫」、② 「学びを通じた親育
ちの支援」、③ 「地域で親子の育ちを支え、支えられた親子が地域社会の担い手になる」をテーマ
とし、その具体的な方策について調査研究を行った。特に 「家庭教育支援の情報が届きにくい
家庭にいかに届けるか」「親育ちの一環としての父親向けの取組」「支えられた親子が地域社会
の担い手となるような支援の循環をいかにつくるか」については本会議が思いを深くした点であ
る。なお、子育て家庭とは、乳幼児から中学 ・高校生までの子どもを育てている家庭とした。
この調査研究報告書が、子どもたちの健やかな成長と、保護者が子育てを通じて自らの人
生を豊かにしていくための地域の家庭教育支援の取組みに活かされることを願うものである。
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1 家庭教育支援の法的背景
家庭は、子どもが生まれ、育っていく時の基盤となるものであり、家庭教育は、全ての教
育の出発点として大きな役割を担っている。
その一方で、今日の子どもが育つ環境においては多くの課題があり、その解決のためには、
家庭、学校、地域の連携を強めることが必要となっている。そして、行政にはあらゆる面に
おいて教育環境の醸成を進めることが求められており、家庭教育もその例外ではない。平成
18年に改正された教育基本法でも、家庭教育について次のような規定が新設された。
〔教育基本法〕
第10条 (家庭教育)
父母その他の保護者は、子の教育について第一義的責任を有するものであって、生活のため
に必要な習慣を身に付けさせるとともに、自立心を育成し、心身の調和のとれた発達を図るよ
う努めるものとする。
2 国及び地方公共団体は、家庭教育の自主性を尊重しつつ、保護者に対する学習機会及び情報
の提供その他の家庭教育を支援するために必要な施策を講ずるよう努めなければならない。
第13条 (学校、家庭及び地域住民等の相互の連携協力)
学校、家庭及び地域住民その他の関係者は、教育におけるそれぞれの役割と責任を自覚する
とともに、相互の連携及び協力に努めるものとする。
教育基本法改正に伴い、社会教育法も一部改正され、国・地方公共団体・市町村教育委員
会が家庭教育に果たすべき役割を次のように規定した。
〔社会教育法〕
第3条 (国及び地方公共団体の任務)
国及び地方公共団体は、この法律及び他の法令の定めると
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