スポーツにおけるキリスト教の祈りの経験 実存的―现象学的研究 (全訳).doc

スポーツにおけるキリスト教の祈りの経験：　実存的―現象学的研究 (全訳) Czech, D.R., Wrisberg, C.A. et al, 2001 The Experience of Christian Prayer in Sport: An Existential Phenomenological Investigation. Journal of Psychology and Christianity, 23, 1, 3-11. 要約 　この研究はクリスチャンの競技者祈りの経験を、自分で体験したものとして一人称的観点から語ってもらい、その内容を吟味することを目的に計画された。大学一部リーグでプレーしたクリスチャンの9人の選手経験者がインタヴューの協力者になり、彼?彼女らの祈りの経験を、試合前?中?後について語るように求められた。その結果、４つのテーマがスポーツにおける祈りを特徴づけていることが明らかになった。それらの4つは、 Performance Prayers （実行?成績についての祈り） Prayer Routine （習慣的な祈り） Thankfulness （感謝の祈り） God’s Will （神の意を信ずる祈り） 　先行研究では祈りの儀式的行為は選手に大きな影響をあたえることや、選手が祈りをストレス対処の方法として使っていることや、選手個々人によって好まれる祈りは異なることなどが指摘されてきたが、本研究ではそのような研究結果を再確認するとともに、さらに掘り下げた究明を行なった。 　この研究結果は、コーチやスポーツ心理学コンサルタントや、選手のスポーツ行動の意味を深く理解しようとするために現象学的方法論に興味のある研究者にとって、有益なものになるだろう。 2008/05/17　Ichimura, S. 本文 　信仰を語り合うことや宗教的儀式に参列することなどは、1970年代や80年代の初めにあっては、競技者の間でそれほど一般的なことではなかった。しかし、今日の社会では、多くの競技者は人生の問題の答を信仰の中に求めている。今日の中高等学校や大学やクラブやプロの競技者のあいだでは、試合の前?中?後でお祈りや、宗教的で儀式的な行動が広く行なわれている。現在、大リーグの多くの野球チームや、ＮＢＡやフットボールリーグでは、日曜日のゲームの前に教会の礼拝に出かけている。 　キリストを信仰する競技者やコーチのこのような社会的動きは「Sportianity」とよばれている(Deford, 1979)。（訳注：Christianity 「キリスト教徒的信仰」からの造語。スポーチャニティーと発音するのだろう） 　このようなタイプの競技者は、宗教的信心は彼らの生活、特にスポーツの成績の上に影響をあたえると口にしている。 　Leomard (1998)は、祈りは今日の競技者に共通して見られる宗教的実践の1つであると述べている。例えば、スポーツでよく見られる宗教的身振りは、ローマンカトリックの競技者の試合前後の十字を切る身振りである。クリスチャンは神が個人的なものであり、活動の中にともにあるものであると信じているので、神をスポーツ活動の中に招来することは望ましいことだと感じている(Hoffman, 1992)。ある者にとっては、意識下の信念である場合もあるが、祈りはゲームや活動の結果に影響をあたえるだろうという希望がある。 　祈りとスポーツに関する初期の研究で、Marbeto (1967)は高校生競技者（男女140名）のうちの５５％が競技会と関連した祈りを行なっていることを報告した。ミッション系の高校の８０％、公立高校の１０％では、半数以上のコーチおよび競技者がゲームのパフォーマンスに関係した祈りを繰り返して行なっていた。さらに、定期的に教会に行っている競技者は信仰深い家庭に育っており、祈りはスポーツの実行を助けになると信じていた。 　最近では、Coakley (2001)は宗教的祈りを行なう競技者の６つの理由を示している。それらは、(a)結果が不確かな状況のストレスへの対処方略としての祈り、(b)道徳的に正しい生活を送ることの支えとしての祈り、(c)競技者のスポーツへの係わりを宗教的に正当化する祈り（訳注：キリスト教は伝統的には精神を肉体の上位に置いたため）、(d)スポーツを広い観点から見られるようにする祈り、(e)チームメイトとの強い絆をつくるための祈り、 (f) social control を維持するための祈り、などである。 　Park(2000)は、韓国のナショナル選手（１４８人、年齢１４－５８歳、４１種目）をインタヴューして、２２．２％の競技者が祈りをストレス対処方略として利用して