2005年度小熊研究会卒业论文.doc
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2005年度 小熊研究会 卒業論文
~アンデス音楽としてのフォルクローレ~
日本における解釈の変遷と定着過程の諸分析
学部学年 環境情報学部 4年
氏名 姫野貴之
学籍番号
【概要】
本論文は、を対象として、中南米音楽を扱った日本で唯一の雑誌、「中南米音楽」とその続刊「Latina」の言説分析を行うことによって、アンデス地方のフォルクローレが音楽の一ジャンルとして定着していく過程を描いた。1-5-1.中南米政治状況から見るフォルクローレ
1-5-2.「新しい歌」 社会運動から見るもう一つのフォルクローレの潮流
1-5-3.日本におけるフォルクローレ受容の変容過程
2.演奏空間のドラマトゥルギー
2-1.演奏空間
2-1-1.場
2-1-2.ある演奏風景
2-2.演奏空間のドラマトゥルギー
2-2-1.行為
2-2-2.舞台装置
2-2-3.行為と空間の連関性
2-3.聴衆のイメージ分析
2-3-1.アンケート調査の概要と結果
2-3-2.分析
2-3-3.小括
3.まとめ
3-1.フォルクローレの変遷とポピュラー音楽としてのまなざし
3-2.アンデス音楽としてのフォルクローレ
4.研究の限界と今後の方向性
5.参考文献
6.資料
【序論】
フォルクローレとは
本研究で対象とするフォルクローレは端的に言うと、民俗音楽、民衆の歌と形容される音楽の1つのジャンルである。本研究では、この解釈、つまり「フォルクローレ」を巡る言説に注目し、その変容過程を分析していく。まず現在日本において、「フォルクローレ」がどのように捉えられているかということを見て行きたいと思う。
まず、音楽評論家の浜田滋郎氏はこのように述べている。
フォルクローレはあくまでラテン?アメリカ民衆の生活に密着した、感覚と感情の自然な現れにほかならないのである。
???中略???
当初の素朴な姿に、色々な方法で現代風の装いを付け加えてくることになる。
またある日本人の演奏者は次のように述べている。
日本でよくフォルクローレといって紹介されているのはアンデス高地を持つ代表的な国、ボリビアやペルーの音楽、そしてパンパという大平原を持つアルゼンチンに伝わる音楽です。エクアドルやチリパラグアイなどが含まれたりもします。
上記の2つの例は良く見る紹介の形である。しかし大きくアンデスの民俗音楽というジャンルにまとめることに警鐘を鳴らす紹介もある。
???中略???
私たちが「ボリビアのフォルクローレ」を説明するときに、手っ取り早く「アンデス音楽」という言葉で表現してしまうことが、しばしばあります。はたしてフォルクローレは、本当に「アンデス音楽」なのでしょうか?
このように「フォルクローレ」を巡る語り方は様々なものがある。しかし現在においては、アンデス音楽、アンデスの民俗音楽として表象されている。そのような表象や解釈がいかに定着するにいたったかという過程を明らかにするのが本論文の目的である。
フォルクローレを論じていくにあたり、重要な要素を持つのは演奏する際に使用する楽器である。簡単ではあるが、以下で説明していきたいと思う。
まず、アンデスの葦笛として日本で呼ばれるケーナは、川辺に生える葦を使っている葦笛ではなく、南米の“葦”、日本で言う竹に近い素材が使われている縦笛である。 ケーナの起源は、古代からアメリカの先住民が使っていた管楽器に遡ることができる。ケーナは後の章で説明するが、日本のフォルクローレ受容において、非常に大きな影響を与えた楽器である。ケーナに加え、管楽器の代表的なものとして、アンデスのパンの笛と呼ばれる、サンポ-ニャがある。これは長さを変えた幾本かの管を並べて一組に結び合わせる形の笛である。南米の国ごとにその形や長さは異なるが、日本のフォルクローレではよくケーナとともに使われる管楽器の一つである。打楽器としてカーハ、ボンボが知られ、弦楽器としてはチャランゴと呼ばれる小型のギターがよく使われている。チャランゴはクラシックギターをまねして作られたという起源が存在し、管楽器に比べ明確にヨーロッパ人による植民地化以後の楽器であると定義されている。
問題意識
「フォルクローレ」とは様々な解釈をすることができる言説である。一体何故「フォルクローレ」がアンデス音楽として日本に定着していったのだろうか?その音楽
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