中学校健康診断において行う運動器検診の方法に関する検討.pdf
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[原著論文]
中学校健康診断において行う
運動器検診の方法に関する検討
A study on the method of medical examination of bone
and joint in junior high school
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德村 光昭 井ノ口美香子 川合志緒子 田中 祐子
* * * *
康井 洋介 糸川 麻莉 久根木康子 今野はつみ
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室屋 恵子 篠塚 昌代
慶應保健研究,32(1),033-038,2014
要旨:中学校健康診断において実施した運動器検診(問診調査,運動器診察)の成績評価を通し
て,効率的な運動器検診の方法について検討した。
対象は,中学生1960人(2012年度),1963人(2013年度)で,学校健診において小児科学校医
による運動器検診(問診調査,脊柱および上下肢診察)を実施した。2012年度100人(5.1%),
2013年度43人(2.2%)が,整形外科医による二次検診の対象となり,膝関節傷害および脊柱側
彎の疑い例が多かった。二次検診対象者の98%が問診調査および脊柱の診察で抽出され,上下
肢の診察で抽出された者は2012年度2人,2013年度1人と少なかった。
2013年度の二次検診対象者は,2012年度に比べて減少したが,2013年度の2・3年生は前年度
に運動器検診を既に受けており,また運動器検診と並行して開催した整形外科医による運動器疾
患に関する教育講演の効果で,自発的に医療機関を受診する例が増えたことが要因と考えられた。
学校健診における運動器検診を全国的に普及させるためには,時間的制約や実施方法に問題の
ある上下肢の運動器診察を省いて,上下肢の可動性や痛みに関する質問項目を含む問診調査と脊
柱の診察のみを実施する運動器検診の導入が現実的である。また,運動器疾患の早期発見には,
運動器検診に加えて,運動器疾患についての教育啓発活動が重要である。
keywords:運動器検診,学校健康診断,小児科学校医
medical examination of bone and joint,school health checkup,
pediatrics school physician
はじめに 結果,学校健診の時間的制約や整形外科を専門
文部科学省は学校健康診断の検査項目の見直 としない学校医の技術的な問題を考慮し,運動
しを進め,その中で運動器疾患を早期発見する 器診察の実施は見合わせ,運動器についての問
1 ),2 )
ための検査項目の導入が検討されてきた。その 診調査のみの実施が提案されている 。
*慶應義塾大学保健管理センター
(著者連絡先)德村 光昭 〒223-8521 神奈川県横浜市港北区日吉 4 -1 -1
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中学校健康診断において行う運動器検診の方法に関する検討
我々は,中学生を対象に学校健康診断におい 続く運動器の痛みがある者」,学校健診にける
て,運動器についての問診調査に加えて,整形 運動器診察では「上下肢の診察において,肩・
外科を専門としない小児科学校医による運動器 肘・股・膝・足関節の可動域制限が疑われる
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